アンサンブルとは…
アンサンブルはフランス語「 ensemble 」。
辞書で調べると、まず「上着とスカート等を同じ布で作った一組の婦人服」と出てくる。カーディガンとカットソーが対になったものもあるよね。
次に「音楽、演劇での全体の調和」。 これ「このバンド、いいアンサンブルしてるね」なんてこと、良く言うでしょ??音程・バランス良く、アインザッツ・テンポがピタリと合った美しいサウンドを賞賛する言葉。
もう 1 つ「音楽で、少人数の合奏または合唱」とある。これがこのアンサンブル講座の本題だが、つまり「 ensemble 」本来の意味は、「共に」「一緒に」「調和」ということ。
音楽では、「2パート以上の合奏・重奏で、各パート(声部) 1 人の奏者で演奏するのが基本形。いろいろな楽器編成があり、少人数で、その組み合わせ、多彩なサウンドを楽しめる。
良いアンサンブルって?
「優れた演奏技術と合奏能力」、「しっかりしたアナリーゼに基づく音楽性」を持った演奏者が、自分の表現したいことを自由にパフォーマンスするのが「よいアンサンブル」。
お互いにイントネーション、ハーモニーバランス、フレージングを聴きあい、相手が「何をどう演奏したいのか」を察知するのが大切。
アンサンブルの効果
ソロ的要素が多く、個々の責任が重い少人数アンサンブルの経験を積むことで、技術的にも音楽的にもレベルアップ間違いなし。当然大編成合奏に役立つことは言うまでもない。アンサンブルは絶対に隠れることができないからね…。要覚悟!
またCD等で芸術性の高い室内楽曲を、トッププレイヤーの演奏で聴くことは(各楽器の音が良~く聴こえるしね)、自分の楽器の本来の音に対するイメージをシッカリ持つことができ、正しい奏法を習得、音色も音程も良くなる。一石二鳥。
いろいろ聴くことで様々な音楽様式を知ることで、音楽的センスも磨かれ、表現力もアップ。一石三鳥!
アンサンブルの形態と編成
管打楽器のアンサンブルは、同じ(同属)楽器によるアンサンブルと種類の異なる楽器の組み合わせによるアンサンブルの2つの形態がある。
注:全日本吹奏楽連盟のアンサンブルコンテストの規定は三~八重奏。Maxは八重奏までの紹介とするが、ここでは日常的な練習のために二重奏も対象とする。
同じ(同属)楽器によるアンサンブル
同じ種類の楽器によるアンサンブルで、各パートで手軽に楽しめる。比較的組みやすい編成だから、スクールバンドでは主流。
クラリネット、サクソフォンのように、ファミリー楽器も加えたアンサンブルは、音色の統一感だけでなく、広い音域をカバーできるから、表情も豊か。
- フルート 二~八重奏 ピッコロ、アルトフルート、バスフルートが加わることもある
- オーボエ 二~四重奏が一般的 コールアングレ、バスオーボエ、ミュゼット(E♭管またはF管の小さな超高音オーボエ)が加わることもある
- ファゴット 二~四重奏 コントラファゴットが入ることも
- クラリネット 二~八重奏 B♭クラリネットだけの編成の他、E♭クラ、アルトクラ、バスクラ、コントラバスクラを加えた作品も多数ある
- サクソフォン 二~五重奏 最も代表的でサクソフォンアンサンブルとして確立しているのは四重奏(ソプラノ、アルト、テナー、バリトン)最近はソプラニーノ、バスを加えた八重奏もある
- トランペット 二~五重奏 ピッコロトランペットを加えることも
- ホルン 二~八重奏。四重奏(ホルンクァルテット)が代表的 作品多数
- トロンボーン 二~四重奏 バストロンボーンが入るのが通常だが、アルトトロンボーンが入ることもある 作品は四重奏が多い
- ユーフォニアム 二~四重奏。最近注目されているアンサンブル 作品は増えてきている
- テューバ 二~四重奏
- 打楽器 マリンバ二~四重奏、スネアドラム二~四重奏、ティンパニ二~三重奏が代表的だが、その他の楽器によるいろいろなアンサンブルがある
種類の異なる楽器によるアンサンブル
様々な楽器によるアンサンブルはレパートリーも膨大で同属楽器のアンサンブルより歴史的にも確固たる地位を築いていて、バロック期(17~8世紀)やモーツァルトの時代から親しまれている。
同種同属楽器のアンサンブルよりも、音色やイントネーションの統一、サウンドの融和の点ではかなり難しいが、各楽器の特徴を活かした多彩な表現で、室内楽の魅力を最大に発揮できる。
- 木管二重奏(デュオ)Fl+Ob、Fl+Cl、Ob+Cl、Ob+Fg、Cl+Fg、Cl+BarSaxなど
- 木管三重奏(トリオ)Fl+Ob+Cl、2Fl+Fg、2Ob+Fg、Ob+Cl+Fg(木三といえばコレが定番)
- 木管四重奏(クァルテット)Fl+Ob+Cl+Fg、Fl+Cl+Hrn+Fg(ロッシーニに名曲があるが難しいぞ!)、Ob+Cl+Hrn+Fg等
- 木管五重奏(クインテット)Fl+Ob+Cl+Hrn+Fg(木管アンサンブルの花形!)
- 木管六重奏(ゼクステット) Fl+Ob+Cl+Hrn+Fg+BCl、Fl+Ob+Cl+Hrn+Fg+ASax、2Ob+2Cl+2Fg等
- 木管八重奏(オクテット)2Ob+2Cl+2Hrn+2Fg、2Fl+2Cl+2ASax+TSax+BarSax等
- 注:木管五重奏、木管六重奏、木管八重奏にはホルン(金管)が入っているので、正確には管楽○重奏だ。でも18~9世紀にオーケストラの主要管楽器で構成されたアンサンブルが流行。特に管楽五重奏のためにいろいろな作曲家がこぞってたくさん作品を書いた。 木管楽器を中心とした編成のため、通称としてその時代から「木管五重奏」とよばれている。…というのが一説。
- 金管二重奏 Trp+Trb、Euph+Tb等
- 金管三重奏 Trp+Hrn+Trb(作品多数)、2Trp+Trb等
- 金管四重奏 2Trp+2Trb、2Euph+2Tb(バリテューバアンサンブルの定番)
- 金管五重奏 2Trp+Hrn+Trb+Tb(最も代表的な金管アンサンブルで作品多数)
- 金管六重奏 2Trp+2Hrn+2Trb、2Trp+Hrn+Trb+Euph+Tb、3Trp+3Trb等
- 金管八重奏 4Trp+4Trb、3Trp+2Hrn+2Trb+Tb等
- 打楽器アンサンブル 使用楽器、編成(演奏者数)は作曲者が指定。作品ごとに多種多様
- 混合編成アンサンブル 金管と木管、金管と打楽器、木管と打楽器等の編成で多種多様。コントラバスを加えてもOK。
- 管楽六重奏、2Ob+2Hrn+2Fgの編成の作品はモーツァルトの定番。セレナーデやカッサシオンは有名だ。
これらの編成は伝統的なものも含めてほんの一例。組み合わせの可能性はまだまだある。発想は自由に!