1. その4:ジェイコブ/オーボエ、クラリネットとバスーンのためのトリオ

アンサンブル講座 その4:ジェイコブ/オーボエ、クラリネットとバスーンのためのトリオ

ゴードン・ジェイコブ:オーボエ、クラリネットとバスーンのためのトリオ
Gordon Jacob:Trio for Oboe,Clarinet and Bassoon
>出版:MUSICA RARA Breitkopf&Hartel(MR 2185)

<<目次>>
■吹奏楽の名曲ズラリ…

ゴードン・ジェイコブ(1895~1984)ロンドン生まれ。
英国王立音楽院に学び、1935年に博士号を取得しているが、作曲の勉強を始めたのは23歳からと意外と遅い。でも多作家で400以上の作品を残している。
作品は多岐にわたり、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、歌曲、またその他に映画音楽なども手がけているが、最も知られているのは吹奏楽曲だ。「吹奏楽のための協奏曲」、「祝典のための音楽」、「ウィリアム・バード組曲」は超有名。またジェイコブのオーケストレーションは天才的で編曲もすばらしい。
G.ホルスト「ムーアサイド組曲」やV.ウィリアムス「イギリス民謡組曲」はジェイコブが吹奏楽版に編曲しているのだ。
作風はイギリスの民謡や古い音楽を取り入れた伝統的な文化の香りを感じるものが多いが、英国紳士の気品に満ち溢れていながら、ちょっとユーモラスで現代的な、楽しい曲もある。
ジェイコブは教育者としても優秀。1926年から英国王立音楽院で教えているが、弟子のひとりにマルコム・アーノルド(序曲ピータールー、第六の幸福をもたらす宿、3つの船乗りの歌・木五の作曲家。)がいる。
また教育書も書いていて、「スコアリーディング」、「オーケストレーションのテクニック」はベストセラーだ。
…という簡単なプロフィールを紹介したが、とにかくジェイコブは20世紀、イギリスを代表する国民的作曲家なのだ。
でもイギリス本国を含め、世間ではあまりメジャーではないのが残念。そこでボクら吹奏楽ファンがジェイコブの名曲を数多く紹介(演奏)して一般人に知ってもらおうじゃないか!
で、まず手始めに木管アンサンブルから。デュエットから八重奏まで作品はたくさんあるが、今回は気楽に組めるトリオ。

■ ちょっと気取った粋なイギリスサウンド

この《オーボエ、クラリネットとバスーンのためのトリオ》はあの「オーボエのテクニック」を書いたE.ロスウェルと「バスーンのテクニック」を書いたA.キャムデン(いずれも音楽之友社)のために書かれた作品(クラリネット奏者については不明)。
4つの楽章で構成されたインパクトの強い、ちょっと現代的な英国サウンドの曲だ。各楽章の個性的なキャラクターをしっかり表現しよう。

1:Allegro(4分音符=c.112)2/4拍子
ちょっとエキゾチックな分散和音で始まる4小節のテーマは2オクターブにわたるが同じ音。音程ピタリでアーティキュレーションも揃えよう。
このテーマの分散和音が第1楽章のポイント随所に出てくるから強調してくれ。
スタッカートは短くクリアに、スラーは楽譜どおり正確にかけよう。 アクセントが随所にあるが強すぎてはダメ。粋なアクセントが欲しいね。
65小節目からはソフトにレガート。前半とのコントラストをハッキリ表現。
ラスト12小節は再度最初のキャラで。最後のスタッカートは極軽く、小粋にスッキリ。

2:Adagio(4分音符=c.52)3/4拍子  4分音符=52はかなり遅いぞ。
吹いているうちにどんどん伸びて遅くなってしまう恐れあり。メトロノームを8分音符=104に設定して、常時つけておこう。
この楽章はどれだけ美しいレガートが表現できるかで決まる。力を抜いて息をまっすぐ。16分音符の動きも息をまっすぐがコツ。
25~34小節はまったく違う、突如ゴジラがあらわれたような力強い表現で。
34小節目のObはパッとキャラを変えるのがむずかしいぞ。練習あるのみ!
再びPでレガート。PPが出てくるけど固くならずに楽に楽に。
音の大きさだけで勝負せずに雰囲気を大切にしようね。

3:Scherzo Allegro molto(4分音符=c.132)6/8拍子 タランテラ(イタリア・ナポリの速いテンポの舞曲)のように非常に速い軽快な曲。
各楽器が交互に絡んでくるのがおもしろいが、アンサンブルテクニックが必要だ。ゆっくりからじっくり練習して小気味良く合わせよう。
各自常に8分音符が頭の中でなってるといいね。アーティキュレーションは記されてなくても当然Stacc.leggeiroだぞ。

4:Allegro vivace(4分音符=c.126)2/4拍子
アウフタクトで始まるスピード感のあるこの楽章は、常にウラ拍の表現がポイント。 ジャズっぽいウラ拍のアクセントは絶対に突っ込まないように!
「遅れちゃいけない」と思うと、つい早めになりがち。軽快なテンポでもタメがないとかっこ悪い。
またお腹でアクセントを付けると乗り遅れるのでこれもダメ。 コツは、アクセントの音の前にほんのちょっと隙間をあけると簡単に強調できる。お試しあれ!
ラストは2/4だけど3/8拍子のように。カッコよく終わろう!
いずれまたG.ジェイコブの五重奏や八重奏を紹介しよう。
各楽器いろいろな編成でたくさんあるぞ!

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